Amygdala

Turns on

天然キノコを採って食っています

平成最後の夏という表現も手垢にまみれていますが、とにかく2018年の夏は断続的な長雨によって終わりを告げました。

自分含め長雨を好む人は少ないでしょうが、そんな雨の合間にも唯一の楽しみがあります。そう、キノコ狩りです。

野生キノコの採取、料理は危険な行為というのが世間一般の認識であると思われ、事実同定が難しい種類による事故は後を絶ちません。食用のクロハツと死を招くニセクロハツや、食用のウラベニホテイシメジと腹痛と嘔吐を引き起こすクサウラベニタケなど、判別が難しい種類については徹底して食べないという選択が必要になってくると思います。

毒菌が少ないと言われてきたイグチ類も、最近ではドクイグチを筆頭に数多くの毒菌が存在することが知られており、分類も不十分なものが多いので個人的には茎に網目模様があるヤマドリタケモドキやムラサキヤマドリタケ以外を採取しないようにしています。食の可能性を広げる行為は、蛮勇なる勇敢な他者に任せましょう。

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◆タマゴタケとムラサキヤマドリタケ

 

さて、つげ義春の「初茸がり」には「初茸はひと雨ごとに大きくなるからな」「うれしいや もっともっと雨が降るといいのにネ」という老人と子供のやりとりがありますが、去年雨不足でなかなかキノコに出会えなかったのもあって今年は若干期待しつつ近所の公演を散策することにしました。

夏の酷暑によって活動できず、秋に羽化した尋常ならざる数の蚊に襲撃を受けつつも散策すると早速良い形のヤマドリタケモドキ(ポルチーニの兄弟みたいな存在です)が。しかしホタル保護の柵に阻まれ採取できず。残念。

 

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めげずに木が鬱蒼としている方に行くとヒガンバナもかくやというような存在感を放つ一群に遭遇。

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毒々しいまでの赤と黄色と白に彩られたタマゴタケは、素人目にはバッドトリップを引き起こすベニテングダケに似ているかもしれませんが、傘に鱗片がなく、黄色い茎などで区別が容易につきます。そしてこの毒々しさゆえか誰も食べようとしないので生え放題。以前食べたこともあるので、今回は状態のよい若いものを数本持ち帰ることにしました。

 

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近くには黒紫色のごつごつした肌に黄色いまだらが混じる怪しげなキノコ、ムラサキヤマドリタケも生えていた。これもポルチーニの親戚で美味として知られているのでキープ。ところが、思い付きで来たので十分な採取用の袋がない。

仕方なくキノコを持ったままコンビニに入り、適当なものを買って袋をもらうことに。毒々しいキノコを手に持ったヒッピー然とした男に他の客は警戒心丸出しですが、ビニール袋を無事入手。公園の森に戻って無事探索再開。

 

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◆ひょろひょろしたシロソウメンタケ。

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◆異様にぶっといイグチの仲間、足元にはオチバタケや様々な小さなキノコが無数に生えており、足の踏み場もないほど。

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◆ヒラタケかウスヒラタケ、根元を割いて黒い斑点がなかったのでツキヨタケではなさそう。これもキープ。

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長い軸が地中に伸びているツエタケ。

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巨大化したキクラゲ。これも状態がよさそうなものをキープ。

 

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というわけで、ヒラタケ、キクラゲ、ツエタケ、タマゴタケ、ムラサキヤマドリタケの5種類を持ち帰り、調理することに。

キノコは極力洗うなと識者は言いますが、こんな落ち葉まみれ土まみれなままでいいはずもなく、ヌメリもあるので水で流しながらゴミをこすり落とし、キッチンペーパーで拭き取ります。極力きれいな個体を持ち帰ったので虫はほとんどついてませんが、キノコバエの幼虫やダンゴムシ、ナメクジがついている危険もあるのでキノコを半分に裂いて確認しておくといいでしょう。

 

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日本の台所に全く似つかわしくない赤と紫の方は洋風に仕上げ、右の地味チームはキノコ汁にすることにします。

 

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地味チームは沸いたお湯に放り込み、弱火で少し煮てダシを引き出します。天然キノコはアクがけっこう出るので必ずすくうこと。

 

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味噌をといて火を止めておわり。キクラゲ切ればよかった。

 

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派手チームはベーコンとガーリックを加えオムレツに。若い個体を選んだおかげでムラサキヤマドリタケの軸も虫やスが入ってなくてよかった。

 

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オリーブオイルで炒めた後バターで香りをつけ、塩胡椒した溶き卵2玉を投入し火を弱める。

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めちゃくちゃな組み合わせですが完成。

キノコ汁の方はとにかく野生キクラゲの歯ごたえが強烈。豚のコブクロでも食べているかのようにボリボリと脳に響き、存在感放ちまくり。ツエタケは軸がやはりボリボリ、傘はぬめりがありつるんとして食べやすいです。ヒラタケはいつも食べているので特筆するようなこともなく優秀。

オムレツの方はムラサキヤマドリタケの軸がまるでズッキーニのような食感で味もアスパラガスのようなうまみがある。キノコより野菜らしさを感じる味で、これは意外。

傘はすこしつるんとしていますが穏やかな食感で調和しています。

タマゴタケは特有のキノコらしい香りがあり、赤や黄色の色素が溶け出しています。味の方向性として両者とも卵や油が合う感じで、塩味の強いベーコンを少なめにしておいて正解でした。

 

さて、今年も自己責任という言葉を脳裏に浮かべながら天然キノコを採取し料理してみました。

茶色く地味なキノコは見慣れたルックスで安心感があるかもしれませんが、同じような見た目の毒キノコも同じくらい存在します。天然キノコに興味のある初心者の方はあえて派手で毒々しく、間違えようのない特徴の種類から採取することをお勧めします。あと、白いキノコも避けた方が無難です。ドクツルタケでググると症状マジで怖いんで……

 

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 ◆似てる。