Amygdala

Turns on

恋ヶ崎さんの痕跡を求めてフランスに行った

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さて、イタリア編まで書いたツアー日記ですが、早々に飽きてしまったので更新もやめてしまいました。

私がヨーロッパにいる間に「デイトラ!」(詳しくは以下の記事参照:どうやらサービス終了後も更新され続けるソシャゲのお知らせページがあるらしい - Amygdala含むサーバの撤去、トライナリ曲が歌われる最初で最後の機会(?)かもしれないガストライブ2018の開催等色々あったようですが、どれも指をくわえてtwitterを眺めることしかできなかったのが悔やまれます。

腹いせではありませんが私も「見るセロトニン」こと2万円のウエディングドレス絵を予約し限界オタクの矜持を示しましたが、そもそも赤貧ドサ回りミュージシャンにできることは限られています。なにせ量子力学もプログラミングも9万円オルゴール購入もできないのですから、しがない一消費者として生き続けるしかないのです。

831のサービス終了に伴い様々な展開の縮小、冬コミ以降のグッズ販売でさえ不透明と、色々と苦境に立たされている当作品ですが、「アホなファンが少なく心地よい」と私が感じる場所は世間からすると相当な僻地であるということらしいです。

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あまりにも強烈なエナジーを発散しており直視が難しいのでモザイク処理にて添付

 

逐一ツアー日誌を更新することに飽きたとはいえ、1ヶ月強のツアーで何も起こらなかった、何も学ばなかったわけでもないのでざっと振り返ってみましょう。

イタリアではその後2公演ほどやりましたが、結局今一つ演奏もまとまらずオーガナイザーからギャラを下げられたり観客の反応も鈍いものでした。また、対バンのわかりやすくロックで激しい演奏に盛り上がる観客たちの声を遠鳴りに聴きながら、セキュリティの危険甚だしい街のフリーWifiゾンビランドサガを観るのは非常に惨めな気分に陥るのであまりオススメしません。

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ラグーソースのパスタはなかなか珍しい

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ツアー中の主食、エスプレッソとクロワッサン

次の国はスイスで4公演。ここではおおむね良い扱いを受け、物販もよく売れケータリングもホテルも上質な場所が多かったです。物価は異様に高く、マックのセットが日本円にして1500円ほど、ケバブでさえ1000円ほどと、外食の選択肢の狭さが苦しかったのですが、半面レコードやエフェクターは安く、色々と散財。

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バーゼル

ジュネーブで風邪をひき朦朧としながら演奏して寝込むと、そのままドイツへ。いよいよ寒さ厳しく、氷点下の日も多かった。とはいえここでも基本的に良い扱いを受け、お客の入りも物販も好調でした。ソールドアウトだったベルリンでは人知れず24歳の誕生日を迎えたものの酔いすぎて轟沈。

ドイツ最終日はアンコールを3回もやらされたうえに投宿先は何の因果か下の階がライブハウスで、ドイツの青春パンクのようなものを深夜1時半まで聴かされながら就寝。

チェコプラハ公演が会場の騒音問題で急遽中止になったのが残念とはいえ、オフ日にマネージャーとベルリンのレコードショップへ行き、ミニマル&エレクトロニカ好きな恋ヶ崎さんにもお勧めできそうなレコードを購入しました。

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神楽ちゃんが喜びそうなドイツの美しい街

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凄まじい数のミニマル棚

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ベルリンの漫画屋ではBLAME!をはじめ二瓶作品がプッシュされている

その後ベルギーのゲントを経由しUKに向かいましたが、ゲントではひどい食事と宿の洗礼を受けます。冷凍されたよくわからぬ野菜入りの粥みたいなものはさすがに不味すぎて評価不可能、演奏後向かった宿も狭い、汚い、寒い、の三拍子そろった一般宅で、野宿よりマシというレベルのものでした。

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本当にひどい

全員シャワーも浴びれず粗食と寒さで体調を崩しグロッキーになりながらドーバー海峡を越えUKはロンドンへ。UKはみなさんもご存知の通り盛り上がりにくい観客とメシマズの国であり、身が引き締まります。

会場に到着、なぜか強烈にションベン臭い場所ですが、日本人のお客さんや年季の入った英国サイケ爺なども集まりライブは意外に盛り上がりました。またニューキャッスルグラスゴーと移動距離は厳しいものの、どれも盛り上がり物販も売れ良い雰囲気でした。

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ニューキャッスルの街並み、まさにUKらしい景色

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投宿先オーナーが70年代に地元で見たライブのチケットたち、伝説的メンツだ。

グラスゴーではキマりまくった客が私のエフェクターの上にカバンを投げてきたので蹴り落さなければならないほどヒートアップ、グループとしてもなかなか満足のいく演奏ができました。しかし最終日ブリストルでは連日6時間以上のドライブに皆お疲れモードに突入。さすがに毎日セットリストがあまり変わらないのでマンネリ感も否めません。

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車上荒らしが横行しているので機材を投宿先に搬入することが多々ある

しかも演奏を終え片付けて投宿先に着いたのが夜中の1時、翌日のオランダのフェスティバル出演に間に合うためには4時半には出発しなければなりません。結局ほとんど眠ることなくドーバーを超え800キロ以上の道のりを13時間ドライブ→時間ぎりぎりに到着し機材搬入とリハ→10分後に本番開始という強行スケジュールで疲労困憊の上、マンネリ化していたセットリストを変更しメロウなテイストにしたことが裏目に出たのか全く盛り上がらず客がどんどん減っていくという悲劇に見舞われます。気合が入っていただけにこれにはメンバー皆堪えた。物販も売れなかったし。

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ホテルも刑務所を改装した施設だった

アムステルダムでは知り合いの某バンドの事務所兼自宅に投宿。男同士でダブルベッドをシェアするような男臭いツアー中ずっと私の精神を苛んでいた恋ヶ崎さんのことを忘れるために某ショップで安い夢を購入し、チープな宇宙に身を任せてしばし時を忘れました。気合も新たに翌日の公演に臨むもこれも今一つ、しかも物販のTシャツを会場にロストするというミスが発生。ツアー後半の疲労も相俟ってなんとなく嫌な雰囲気が漂い始めます。

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もうなんでもいいの嘘も本当も

翌日は再びベルギーに向かい、特に期待することなくブリュッセル近郊の小さなバーで演奏したところこれが大盛り上がり。前半にアッパーな曲を持ってきたことも幸いしたのか、数は多くないもののノリの良い客と店主に支えられ非常に良い雰囲気に。ケータリングの自家製シチューも美味。

翌日もブリュッセルで某バンドの前座として出演、大きめの会場かつ満員でメインアクトの力もあり物販はツアー随一の売り上げに。なおこの日もケータリングは美味。

終演後は面白ヒッピーおじさん宅でレコードコレクションを聴きながらビールなどをごちそうになったり服をもらったりと楽しい時間を過ごしました。翌朝彼が紹介してくれた彼の10代の娘がガブちゃんを思わせ複雑な気分になったりしながらも出発。

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町の広場で行われていた蚤の市がこれぞヨーロッパという趣で楽しかった

 

さて、前置きが長くなりましたが日本を出発した10月28日からちょうど一ヶ月目の11月28日、ついにツアー最後の国フランスに到着しました。恋ヶ崎みやびさんが妹のなごちゃんを探しに来た地であり、シュタゲにも登場した世界最大の素粒子物理学研究所CERNが存在し、日本人のヨーロッパに対する勝手な憧憬を一身に引き受けている国でもあります。

 

ウォオオオオみやび探しに来たぞォオオオオうわ道狭っ!

華の都パリの交通マナーは最悪。この景色、かの交通無法地帯ローマを思い出します。

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ラウンドアバウトを廃止せよ

こんな危険で英語もあまり通じずトイレの便座もない国で単身妹を探すガサキさんのことを想うと胸が痛みます。いや資金源とか協力者とかエージェントとかいないと妹探し無理だよな、てかフランスの描写が少なすぎて手掛かりがなさすぎる、CERNジュネーブのすぐ南あたりらしいがジュネーブに行った日は風邪で意識が朦朧としており外をウロウロすることさえ無理だったな、などと言い訳めいた逡巡をしているうちにフランスの初日公演の会場であるパリの2階建てクラブに到着。

20公演を超えた辺りからプレイはおろかロックを聴くことさえ苦痛になりかけていたため、サウンドチェック後に始まる対バンの演奏は総スルー。外に出て何か少しでも痕跡を探せないかとあがいてみたものの、やはり古式蒼然とした街並みに圧倒されるのみで完全な徒労に終わりました。

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ご存知の通りパリを含めフランスでは増税をめぐるデモと暴動(黄色いベスト運動)が起こっており、黄色い服を着ているだけで逮捕される危険があるとのこと。自分の無力さに打ちひしがれ気分も全くノってないもののとにかく会場に戻って演奏開始、ローマやアムステルダム、ロンドン等の都会は客層がクールで演奏しづらいことが多いのですがパリはなかなかの盛況で幕。*1

宿に向かう途中、エッフェル塔の下を通りかかったところマネージャーのエドが「エッフェル塔でションベンしようぜ!」と冗談を飛ばし停車、塔を眺めながらトイレ休憩と相成る。しかしその後メンバーがドアをロックし忘れた状態でエドが見切り発車、慌てて車を止めた反動でドアが激しく閉まり、その衝撃で後部座席の窓が粉々に大破してしまうというアクシデントが。

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なお修理費でこの日のギャラや売り上げが吹っ飛んだ。

ついさっきまでふざけていたエドは絶句、最悪な雰囲気の中なんとかメンバーがテープで窓をマスキングして出発します。やっと着いたホテルでも客がアジア人とイタリア人とみるやフロントがナメ腐った怠惰さを発揮、モタモタした対応で1時間以上チェックインできず、怒ったエドの抗議により翌朝の朝食代と駐車場代がタダに。全員疲れ切って午前3時ごろ就寝。

 

翌日、貧相な朝食を食した後暫し界隈を散策。アフリカ系住民の集会やヨーロッパ中どこにでもあるケバブ屋などを横目にフリーWifiがあるマクドナルドへ行ったものの、高いうえに日本よりも小さいフィレオフィッシュに閉口しホテルに戻り、次の公演地へ。

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アフリカ系住民多し

到着した会場は巨大なガレージを改装した謎のアートスペース。貧弱な暖房の前で寒さに凍えながらケータリングのガレットを食べ、その蕎麦粉の味わいに強く郷愁の念を覚えます。この日は前座のフリージャズサックス奏者とのフリーインプロヴァイズセッションが終演後予定されていましたが、時間切れで実現せず。残念。 

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ブフ・ブルギニョン

その後ちょっとクレイジーなオーガナイザー宅で奥さん手作りのブフ・ブルギニョン*2や近所の人が作ったというパテ、ナチュラルワインを堪能。これらは大変美味。

翌朝は近所の城を眺めたりカフェに行ったりとしばし観光客気分を味わい、次の公演地シャトーブリアン*3へ。

 

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黄色いベスト隊による高速道路ストライキ

高速道路でもストライキが行われており、基本的に無料になっていました。

会場は小さなパブで、色々と薄気味悪くセンスの悪い絵が飾られているせいかなんだか気分が悪くなり、鬱々としながら開演を待ちます。そんな精神状態かつガサキさんに会えない苦痛も相俟って後半は爆音で暴れ回り終演。宿は近所のヒッピーハウスへ。

 

翌朝、住民たちが朝から草を吸いリンゴのスピリッツを飲み音楽を流して騒ぐ声で目を覚ます。そんなこんなでついに迎えたツアー最終日はスイスやイタリアにほど近いレニエという場所で、6時間のドライブの末に到着。

ここでは不思議と扱いや環境が良く、ケータリングのチーズフォンデュやワインを堪能し、年齢層高めで大人しい反応ながらも客も満員でツアー26本目最後の演奏をしっかりと終えました。

そして宿が会場の上に併設されているので終わった後すぐ風呂に入ってベッドに飛び込める環境も素晴らしい。翌朝、感謝の意を示してトイレにメッセージを残し、フィレンツェの空港へと向かいました。

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4日間のフランス滞在中、残念ながら自由時間や手掛かりが圧倒的に不足しており、恋ヶ崎さんに関する具体的な痕跡を感じることはできなかったものの、この1ヶ月間の旅を通してやはり彼女たちの存在がある程度自分の支えになっていたのは事実のようです。

いつか、どこか違う世界に届くようなクリアな爆音で演奏してみたいものですね。

 

 

 

*1:基本的に田舎は盛り上がるが物販は売れず、都会はクールな反応だが良い演奏だと物販が売れる傾向にある。

*2:ビーフシチューの原型のような料理。

*3:肉の話ではない。